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2018.1.22看護師国家試験対策看護学生向け

【国試対策】解剖生理・消化管&消化器の要点〈後編〉

 

難しい解剖整理を分かりやすく捉えるために始まった『解剖生理☆イケメン擬人化計画』。記念すべき第1弾は消化器系。消化器系は、口から摂取した食物を消化・吸収し、肝臓という料理人へと受け渡す、まるでレストランのような働きをしている!一風変わった消化器系の解剖生理の解説・後編の始まりです。

1.すべてを溶かす、必殺消化器・膵臓

生徒A
前回までのあらすじ…。新米ウェイトレスとしてレストランで働く、私、A。閉店後の厨房で肝臓さんと胆嚢くんが抱き合う姿を目撃!?2人の知られざる関係が明らかにされつつ、私はイケメンたちからの求愛に悩まされるのであった…。
生徒B
Aちゃん、冒頭から妄想全開ね。
生徒C
これじゃ、読者誰もついていけないよ…。
杉村
今の全部嘘ですね。本当の前回のあらすじは、消化器系の栄養の消化・吸収と体内での代謝の働きをレストランに例えて説明していましたね。詳しくは前回をご覧ください。
生徒A
も~。先生、せっかく妄想の世界に浸っていたのに。
杉村
Aさん、そろそろ現実世界に戻ってきて勉強を始めましょう。今回は消化器の肝臓×胆嚢×膵臓について要点を絞って説明します。
生徒A
筒状…ということは簡単に言うと、私たちの体は一本の‘ちくわ’みたいなもんなんですね。
杉村
確かにそうなんですが、ちくわって言われるとなんかさみしいな。
生徒C
おでんの中だったら、ちくわ好きだけどなぁ。
杉村
さぁ話を消化器に戻しましょう。まずはどんな栄養でも分解しちゃう最強の膵臓から。ちなみにおでんの具は、モチ巾着が好きです。

 

〔解剖的知識〕

膵臓そのものは、頭部・体部・尾部の大きく3つに分けられ、十二指腸に近い方を膵頭部、遠い方を膵尾部といいます。膵臓から分泌される膵液を流す膵管は膵臓内から総胆管と合流して十二指腸につながって流れ出ます。この十二指腸とつながって部分を十二指腸乳頭(ファーター乳頭)といいます。

 

〔生理的知識〕

膵液はタンパク質、炭水化物、脂質の3大栄養素すべてを分解する最強の消化液です。膵液中に含まれるそれぞれの消化酵素は、タンパク質を分解するのはトリプシノゲンとキモトリプシノゲン、炭水化物は膵アミラーゼ、脂質はリパーゼと水・重炭酸ソーダです。もう一つ、膵臓の特徴といえば、消化とは別に、血糖値を下げるインスリンを膵臓内のランゲルハンス島から分泌する働きがあること。

 

〔疾患的知識〕

膵液は強力で、なんでも消化してしまうため、膵炎を起こして膵管での膵液の流れが悪くなってしまうと、膵液が漏れて自分の体の組織を消化してしまう「自己消化」を起こしてしまい、激痛に苦しみます。とくに、血管へ自己消化が及ぶと出血してしまうため非常に危険です。また、膵臓は体内では胃に隠れるように位置しているため、レントゲンを撮っても癌などの異常が発見されにくい臓器でもあります。そのため癌が見つかった時には病状がかなり進行している可能性がある、というのも膵臓に関する疾患で知っておくべき知識でしょう。

 

膵臓の膵液はタンパク質、炭水化物、脂質をなんでも分解する。総胆管と合流して十二指腸乳頭から十二指腸に流れている。

 

 

2.胆汁は胆嚢で作られない!?胆嚢の解剖生理

生徒A
とりぷしのげん?きもとりぷしのげん?
生徒B
キモトリプシノゲンってどんだけキモいんだ?
杉村
化学や医学生物系の用語って、このカタカナの意味が分からないと困っちゃうんですよね。~~ゲン(-gen)というのはその源、前段階の物質という意味です。例えば、トリプシノゲンやキモトリプシノゲンというのは分泌された後に変化して、それぞれトリプシン、キモトリプシンという物質になります。その前段階、という意味ですね。これからも登場するので覚えておくといいですよ。
生徒A
へー知らなかった!
杉村
ほかにも、ノル~~(nor-)も前段階の物質(前駆体)という意味があります。アドレナリンの前駆体がノルアドレナリン、というように。
生徒C
キモなんとかは?
杉村
キモ~~(chymo-)は、調べてみたら粥状という意味があるようです。まぁあまり覚えていなくてもいい知識ですね、これは。
生徒B
ランゲルハンス島はなんですか?膵臓の中にランゲルハンスさんが住んでるんですか?まさか、みんな膵臓の中にちっちゃいオジサンでも飼ってるんですか?
杉村
さすがにそれはないです(笑)ランゲルハンスさんという人が、膵臓にインスリンなどを分泌するための特殊な細胞の集まり(細胞群)を見つけたんですが、これがほかの膵臓の細胞と違っていて顕微鏡から島のように見えたからこのように名付けられています。
生徒A
それにしても、膵臓さんはものすごい強力なんですね。きっと肝臓さんの右腕として、今までいろんな栄養素を分解してきたんですね。
生徒C
その膵臓さんを怒らせたら、膵炎起こすんでしょ。膵臓さんキレさせたらめっちゃ怖そう。
生徒B
あー、私よく飲みすぎちゃうからな。私の膵臓さんはご機嫌いかがかしら…。
杉村
解剖生理の勉強をしながら、皆さん自分の体もケアしてあげてくださいね。さて、次の器官の説明に移る前にみなさんに問題です!『胆汁はどこで作られるでしょうか?』
生徒A
え?それは胆汁っていうくらいだから、胆嚢じゃないんですか?
杉村
ハズレ!それでは正解はどこかも含めて胆汁について説明しましょう。

 

〔解剖的知識〕

肝臓から十二指腸へ向かって肝管が伸びている。そこに胆嚢から出る胆管が合流し、最終的には膵管とも合流して十二指腸乳頭へつながる。この時の管の名称としては、肝管と胆管が合流した段階で総胆管となる。

 

〔生理的役割〕

胆嚢の役割はそれほど多くない。胆嚢は肝臓で作られた胆汁を一時的に蓄え、濃縮し、必要な時に胆汁を放出する。一時的に胆汁を蓄えるのが胆嚢の仕事。この胆汁の主成分は、赤血球のヘモグロビンが破壊されてできるビリルビンで、胆汁は脂質を乳化させ分解を助ける働きを持つ。胆汁の流れを整理すると、①肝臓で生成され、肝管を通って②胆嚢で蓄えられ濃縮される。③胆嚢から胆管を通って十二指腸に放出される。その後は④大腸で胆汁の一部が再吸収され、①へ戻る。

 

〔疾患的知識〕

本来の正常な胆汁のサイクルに反して、例えば腫瘍などで胆管が狭窄をすると、胆汁は逆流してしまう。これによる症状が黄疸である。

 

胆汁は脂質の分解を助ける働きを持つ。胆汁は肝臓で作られ、胆嚢はその胆汁を一時的に預かる袋。

 

 

3.肝臓の役割と門脈

杉村
注意が必要なのは、胆汁そのものは分解酵素を含んでいなくて、あくまで分解を助ける働きを持っているということです。国試で聞かれたときに間違えないように。
生徒C
なんか胆嚢って…大したことしてないよね。Aちゃんのキャラ設定で言ったらさ、要は体から捨てるような余分な排泄物を、ただ一時的に預かってるだけってことでしょ?
生徒B
Cちゃん、そんなこと言ったらAちゃんが怒っちゃうよー。
生徒A
いや、それでいいの。胆嚢くん年下のちょっとダメな弟くんキャラだから。まだ雑用しかこなせないのよ。
杉村
ほぅ、キャラ設定がかなりできているんですね。
生徒A
はい、だいぶ人物相関図ができてきました!消化・吸収チームの中で実力トップは膵臓さんです。今まで肝臓さんとずっとコンビを組んできました。その膵臓さんの実力にあこがれている胃くんは膵臓さんの一番弟子なんです。
生徒B
いつの間に膵臓と胃に師弟関係が!?
生徒A
一番弟子である胃くんはタンパク質の分解のみならず強力な酸による殺菌という重要な役割を担っているのです。やはり師匠が師匠なら弟子も弟子。怒ると胃炎・胃潰瘍を起こす危険があります。
生徒C
そんな師匠の特徴まで受け継がんでいいわっ!
生徒A
前回のキャラ設定であったように肝臓さんと胆嚢くんは年の離れた異母兄弟で…。
杉村
え、そこまで設定が複雑になったの!?
生徒A
さらに、肝臓さんと膵臓さんの美しい友情…。消化器の肝×胆×膵ってなんてすばらしいんでしょう!!
生徒C
…先生、Aちゃんのいう‘×’ってよくBL(ボーイズラブ)で使われるアレだよ、きっと。
杉村
あー、Aさんにはそっちの趣味もあったのか。これ以上の暴走は止めましょう。十分、消化器については理解できました。Aさんの説明で僕もお腹いっぱいです。
生徒A
私は今、創作意欲が燃え上がっています!
杉村
はいはい、勉強しましょーねー。それでは最後に肝臓の役割やその中で重要な門脈について説明しましょう。

 

〔解剖的知識〕

肝臓は左葉、右葉、方形葉、尾状葉に分かれている。左・右葉を分ける肝鎌状間膜には肝円策があり、これは胎児期の臍静脈のなごり。こういった予備知識も得ておこう。さらに、肝臓の中央には門脈(門静脈)という太い静脈が流れている。また、胆嚢の説明でもあったように、肝臓からは動脈、静脈だけでなく、肝管という胆汁を流すための管も通っている。

 

〔生理的知識〕

肝臓の役割は解毒を含む多彩な代謝である。糖代謝ではグルコースをグリコーゲンに変えたり、その逆をする。グルコースは小腸から吸収されてすぐの状態や、栄養として使用される場合に用いられ、使わない場合はグリコーゲンとして蓄えられる。タンパク質は小腸でアミノ酸として吸収され、肝臓で様々なタンパク質として生成される。このタンパク成分は血液の凝固や免疫反応に関わるもの、筋骨格を作るための栄養、酵素の素材など様々なものへ生成される。

 

〔門脈と他臓器との関連〕

腹部の解剖図を広げてみると、横隔膜より下にある臓器の静脈血が最終的に門脈へ流れるのがわかるだろうか?それぞれの臓器の老廃物は最終的に門脈を通って、必ず肝臓を経由するようになっているここで肝臓の解毒作用が働き、また胆汁が生成され、肝管から胆嚢へ送られる。

 

肝臓は糖代謝やタンパク質の代謝を担っている。また腹部臓器の静脈血はすべて門脈を経由して肝臓で解毒される。

 

生徒B
なるほど!お腹にある臓器のすべては肝臓を経由するんですね。肝臓ってすごいし、人の体ってよくできてるなぁ。
杉村
そうでしょう。血管の走行って非常に効率的にできているんです。
生徒A
さすが肝臓さん。なんでもこなしちゃう。
生徒C
でもさ、じゃあ肝臓がダメになっちゃったら、その分、体のいろんな働きがダメになっちゃうってことなんじゃない?
杉村
その通り。免疫機能や血液凝固機能などさまざまな代謝に関わっているのが肝臓ですから、当然免疫異常や凝固異常を起こしてしまいます。
生徒B
『肝心』っていう言葉があるくらいに、肝臓って大事なんですね
杉村
お、そうですね、『肝心』。では今回はこのくらいでまとめますが、次回は肝心の『心』の方、心臓について説明しようかな。
生徒A
まさか、心臓にもイケメンがいるんですか!?
杉村
んー、頑張って考えておきます(笑)とりあえず、今回のまとめを。

 

【国試対策】解剖生理・消化管&消化器の要点〈後編〉

  1. 膵臓の膵液はタンパク質、炭水化物、脂質をなんでも分解する。総胆管と合流して十二指腸乳頭から十二指腸に流れている。
  2. 胆汁は脂質の分解を助ける働きを持つ。胆汁は肝臓で作られ、胆嚢はその胆汁を一時的に預かる袋。
  3. 肝臓は糖代謝やタンパク質の代謝を担っている。また腹部臓器の静脈血はすべて門脈を経由して肝臓で解毒される。

《次回予告~解剖生理☆イケメン擬人化計画 循環器(予定)~》


杉村
この記事を書いた人
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