国試対策の第一歩。すべての問題を解くために必要になるのが解剖と生理の知識です。国試の勉強を始める時に、多くの人が最初に取り組むものであり、そして暗記の多さに打ちのめされる分野ですね。そもそも、なんで解剖生理は難しいんでしょうか?そこにはみなさんが気づきもしなかった、目からウロコな理由が。そして、最後には解剖生理を勉強するのが少しでも楽しくなるようなアイディアをご紹介します。
衝撃的すぎて、何を言っているのか分からない方もいるでしょう。みなさんが勉強している教科書には、はっきりと『解剖生理学』と書かれているかもしれませんが、実はそんな学問はありません。『解剖生理学』という表現は正確ではない、といった方が正しいのかもしれません。いわゆる解剖生理学というのは、本来は「解剖学」と「生理学」という別々のものです。事実、医学生の場合は解剖学と生理学をそれぞれ勉強しています。しかし、なぜだか看護学生の場合は、それらを一緒にした「解剖生理学」として教えられているんですね。おそらく解剖学と生理学はそれぞれ膨大な知識を学ばなければいけないため、看護師に必要な解剖と生理の知識を「解剖生理学」としてまとめたのでしょう。ただ、どうやら最近になってこの表現が訂正されてきているようで、ネットで調べてみると、「解剖生理」という表現が多くなってきています。ということで、解剖生理の勉強を難しくしている理由の一つが、解剖学と生理学の両方を一緒に学ぼうとして混乱してしまっていることです。解剖生理は、解剖学として学ばなければいけない部分と、生理学として学ばなければいけない部分があり、勉強する際はうまくギアチェンジしていかなければなりません。解剖は身体の構造の名称を覚えること、生理は身体の生命維持の仕組みを覚えることです。これを一気に覚えようとするから混乱して、つまずくのです。
「解剖生理」を勉強するときは、「解剖」と「生理」で分けて捉えて勉強すること。
「木を見て森を見ず」という‘ことわざ’を知っていますか?調べてみると、「物事の一部分や細部に気を取られて、全体を見失うこと」とあります。まさに解剖生理の勉強にうってつけの‘ことわざ’なんです。解剖生理を勉強するときは、まず最初に全体像をつかまないと、今自分が何について学んでいるのか、この知識に何の役に立つのかが分からず、苦痛な暗記をしなければなりません。だから教科書の最初のページからやみくもに勉強を始めようとすると、いきなりイメージの難しい細胞小器官の話から始まって、ワケが分からなくなって、つまずいてしまうのです。例えるなら、解剖生理という深い森を地図もなく歩くようなものです。どこに進めばいいのかも、今自分がどこまで進んでいるのかもわからず歩き続けなければならない。そうやっているうちに森に迷い込んだまま出られなくなるのです。なので、解剖生理を勉強するときは、まず「生理学」の部分を主にして、各臓器・器官の役割や概要をざっくりとイメージでつかむことから始めましょう。例えば、循環器であれば、血液を循環させることが役割であり、そのために心臓がポンプとして働き、動脈・静脈が全身を巡っています。このようなイメージをつけてから心臓の構造や主要な血管の名称、血液の流れる方向を覚えていきます。これをいきなり詳細な血管の名称を覚えようと勉強を始めると辛い暗記になってしまいますね。
解剖生理の勉強は「生理」→「解剖」の順番で勉強する。まずは各臓器・器官の働きをザックリとイメージでつかんでから勉強を進めること。
「日本の大動脈」という言葉があります。もちろん、日本に大動脈なんてあるわけはなく、単なる例えです。関東と関西を結ぶ高速道路や新幹線をそのように呼びます。それだけ人や物が行き来する重要な交通機関ということなのですが、まさにこの例えが意味するように、解剖生理とは人体の地理なのです。それぞれの地域に地名があり(=解剖学)、そして地域特有の生活の様子や特産品などがある(=生理学)ように、場所の名前とその特性を覚えることは解剖生理と似ていますよね。日本地図のように人体を考えてみましょう。日本列島を山脈が走り、東京を中心として道路や鉄道などの交通機関を利用してたくさんの物が全国に流通しているように、人の体も山脈のように脊椎があり、東京のように心臓を中心にして、動脈と静脈を通して赤血球が体のあちこちに酸素を運んでいたりしますよね。このように、自分のイメージしやすいものに結び付けて勉強をしてみると、難しそうな解剖生理も少しは勉強する気持ちになれるのではないでしょうか。
解剖生理は人体の地理。難しいものと考えずに、日本地図を勉強するように簡単なイメージを持ってみよう。
《次回~解剖生理イケメン擬人化計画・消化管&消化器編~》
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